藤田 香

持続可能な天然ゴムの生産・調達のためのプラットフォームが発足した。自動車やタイヤのメーカーを巻き込み、国際基準作りを目指す。

 2018年10月に開催されたWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)の年次総会で、「持続可能な天然ゴムのためのグローバルプラットフォーム(GPSNR)」が発足した。自動車やタイヤのメーカー、商社、ゴム生産農家などが集まり、持続可能な天然ゴムのための国際基準作りを目指す。いわばRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)の天然ゴム版に当たる。

WBCSDの年次総会で、持続可能な天然ゴムのプラットフォームが発足した
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 パーム油に次ぐ熱帯雨林の破壊リスクとして、天然ゴムが浮上している。WWF(世界自然保護基金)によれば、世界の天然ゴム生産量は過去40年間に3倍に増え、主要生産地のインドネシアやタイ、ミャンマーでは農園開発に伴う森林破壊や人権侵害が起きている。天然ゴムの用途の7割以上がタイヤだ。この問題にサプライチェーン全体で対処しようと設立されたのがGPSNRである。

トヨタやGMの参加も期待

 設立時の参加メンバーは米フォード・モーター、伊藤忠商事、タイヤメーカー11社、天然ゴム生産会社5社。タイヤメーカー11社のCEO(最高経営責任者)が主導する「タイヤ業界プロジェクト(TIP)」がGPSNRの設立に関わった。TIPには仏ミシュランの他、ブリヂストンや横浜ゴムなど日本の4社も含まれる。

 一方でGPSNRの準備段階に参加していたトヨタ自動車や米ゼネラル・モーターズは、プラットフォームの組織構成や意思決定の詳細が未確定だとして参加を見送った。ただし、「2019年3月に開かれる最初の総会までに詳細が議論されるため、参加の可能性はある」とWWFジャパンの古澤千明氏は言う。

天日干しされた天然ゴムのシート(写真提供:WWFジャパン)
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 GPSNRの参加条件は、持続可能な天然ゴムの調達方針を策定し、生産・調達の透明性を公表すること。森林の持続可能性や人権配慮、トレーサビリティーの確保、苦情処理メカニズムなど12原則を定めた。これが国際基準のベースになる。

 参加企業や参加が期待される企業には先進的な取り組みをする企業が多い。ミシュランは2016年にタイヤメーカーで初めて「持続可能な天然ゴム方針」を発表し、「森林破壊ゼロ」を宣言した。ブリヂストンは2018年2月に「持続可能な天然ゴムの調達方針」を発表し、森林破壊ゼロ、保護価値や炭素蓄積量が多い地域の保全、トレーサビリティーの確保を盛り込んだ。トヨタはWWFと2016年にグローバル・パートナーシップを結び、天然ゴムの持続可能性に関する国際基準作りを議論してきた。

 さらなる企業の参加も見込まれ、基準作りは2019年に本格化する。