半澤 智

社長の選解任や社外取締役など、ガバナンスに関する質問が相次いだ。株主が、株主総会を通じて企業にESG経営を迫った。

 2018年の株主総会が6月にピークを迎えた。主要の株主総会で、ESG(環境、社会、ガバナンス)に関する質問が相次いだ。

「社外取は名誉職なのか」

 2018年の株主総会は、6月1日に日本取引所グループが改訂コーポレートガバナンス・コードを公表した直後の開催となった。そのため改訂コードを踏まえた質問が目立った。

 改訂コードでは、取締役会の役割強化や透明性の確保を求めている。一般株主が取締役会の実態を知るのは難しい。株主から、取締役会の実効性や社外取締役の役割に関する質問が飛んだ。

2018年3月期決算企業の株主総会が6月にピークを迎えた。株主質問では、ESG(環境、社会、ガバナンス)に関する質問が相次いだ

 経営再建を図る東芝が6月27日に開催した株主総会では、「取締役会で社外取締役が過半数を占めながら不正会計を防げなかった。社外取締役に緊張感がなく、単なる名誉職になっているのではないか」と株主が詰め寄った。

 これに対して、社外取締役で取締役会議長の小林喜光氏は、「緊張感がないということは決してない。社外取締役に就任して2年と9カ月、業務の監督に努めてきた。今後も業務監督に加え、企業ブランド向上、ポートフォリオ管理などを通じて再生計画に貢献していく」と答えた。

 6月22日に開催されたみずほフィナンシャルグループの株主総会では、社長の選任と解任について疑問の声が上がった。「なぜ新社長に坂井辰史氏を選任したのか。指名委員会の考えを聞かせてほしい」。同社グループで証券子会社からグループトップへの起用は初めてで、2018年1月の人事発表では、ライバル銀行からも驚きの声が上がった。

 回答したのは、社外取締役で指名委員会委員長の川村隆氏。「社内評価、第三者機関による評価、面談などを経てトップを選んだ。金融業は大変革が必要。銀行業務以外の知識や経験も重視した」と説明した。

 国内企業で品質不正が相次いでいることを受け、品質管理や子会社管理に関する質問も多かった。

 三菱ケミカルホールディングスが抱えるグループ会社は400社を超える。6月26日に開催した株主総会では、株主から「海外子会社を含むグループガバナンスは大丈夫か」という声が上がった。企業側は、本社で「グループガバナンス・コード」を策定して子会社に導入を求め、海外にガバナンスの統括拠点を設置して支援していく方針を示した。