相馬 隆宏

日産自動車は、「CO2排出ゼロ」「死亡事故ゼロ」に向けたESGの目標を公表した。完成検査の不正で厳しい目が向けられているガバナンスの強化も盛り込んだ。

 日産が2018年6月に公表した「日産サステナビリティ2022」では、2022年に向けて取り組むESGの項目と目標を定めた(下の図)。2017年11月に公表した中期経営計画「日産M.O.V.E. to 2022」と連動させて進める。中計は、持続可能な成長を実現し、2022年に売上高を16兆5000億円に増やすことなどを掲げる。

■ 「日産サステナビリティ2022」の主な目標
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各地域に専任者を配置

 特に注目されるのが、G(ガバナンス)の取り組みだ。日産は2017年、完成検査を認定されていない従業員にさせたことが発覚し、ガバナンスに厳しい目が向けられている。

 ESGの計画では、「三層構造」の監査体制を順次導入する。職場での日常的な法令順守の徹底、社内の専門部署による仕組みの整備と監視、内部統制全般の状況を監査する機能の構築に取り組む。

 この一環として、経営層から従業員に向けてコンプライアンスに関わるメッセージを継続的に発信する。2018年度から全従業員を対象に、新たな行動規範研修を導入した。各地域の拠点には専任の「コンプライアンスオフィサー」を配置して問題を素早く上げる体制を敷く。

 チーフサステナビリティオフィサーの川口均専務執行役員は、「2017年、完成検査に関わる不適正な取り扱いがあり、このような問題を二度と起こさないよう法令順守を推進し、対策を確実に実行すると約束した。その最初のステップになる」と話す。

 E(環境)とS(社会)については、それぞれ「CO2排出ゼロ」と「死亡事故ゼロ」に向けた取り組みを中心に並べた。サプライチェーン全体で取り組むことを掲げた点も見逃せない。2022年度までにすべての1次サプライヤーに「CSRガイドライン」を順守してもらうことを目指す。ガイドラインには、「コンプライアンス」「安全・品質」「人権・労働」など5つの分野でサプライヤーに取り組みを求める。

 既に2017年から、独立機関によるサプライヤーのアセスメント(査定)を始めた。取り組みが不十分な場合、直ちに取引を停止するのではなく、「より良い方向に向かうためにはどうしたらいいかを一緒に考え、現状を分析しながら改善に取り組む」(サステナビリティ推進部の井狩倫子部長)。

 ESG投資の広がりで企業のESGの取り組みが注目されるようになり、今後もESGの中期計画を策定するところが出てきそうだ。