相馬 隆宏

SDGsの取り組みで定評のある吉本興業と北海道下川町がタッグを組む。エンターテインメントの発信力を生かした地方創生のモデルになる可能性がある。

 吉本興業と北海道下川町は2018年7月2日、SDGs(持続可能な開発目標)の推進で連携協定を締結した。SDGsは、国連が2015年に採択した、持続可能な社会の実現に向けて世界が取り組む2030年の目標である。環境や健康、人権など17の目標と169のターゲット(課題)から成る。

吉本興業と北海道下川町はSDGsで連携協定を締結した。記者会見に登壇したよしもとの芸人たち/写真:尾関裕士
協定に調印した吉本興業の大﨑洋社長(左)と下川町の谷一之町長/写真:尾関裕士

 SDGsという「共通言語」を通じて、企業価値を高めたい吉本興業と、町の魅力を国内外に発信したい下川町の思惑が一致した。

 吉本興業は、2017年からSDGsのPR活動を全国で展開している。沖縄国際映画祭や、「健康長寿」を目指す北海道札幌市のイベントなどで、芸人たちがSDGsを広めている。お笑いを通じて一般の人がSDGsに触れるきっかけをつくっている点などが国にも評価され、「ジャパンSDGsアワード」でパートナーシップ賞(特別賞)を受賞している。

移住者が増加

 一方の下川町は、同アワードで最高賞のSDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞を受賞するなど、SDGsで先進的な自治体の筆頭に挙がる。人口約3400人、高齢化率約39%の小さい町ながら、「森林総合産業の構築(経済)」「地域エネルギー自給と低炭素化(環境)」「超高齢化対応社会の創造(社会)」に挑んでいる。

 例えば、町の9割を占める森林資源を生かし、木製品の生産・供給など産業を創出。未利用の木材を使って公共施設の7割に熱を供給することで低炭素社会の実現に貢献している。さらに、限界集落を再生し、超高齢化に対応した社会づくりを進めている。

 こうした取り組みが奏功し、「2017年は、(転入から転出を引いた)転入超過が28人、熱の自給率が49%、住民の所得が2009年比16.1%増加するなど好傾向が見られる」(下川町環境未来都市推進課SDGs推進戦略室の蓑島豪室長)と言う。

 谷一之・下川町長は、「資源が豊富な下川町だが、経営資源としての人材や仕組みづくりが乏しい。吉本興業のエンターテインメントのパワーとエネルギーが必要だ」と話す。