相馬 隆宏

トラックの運転手不足による物流危機が続く中、荷主企業は安定輸送の確保を急ぐ。物流の効率化へ向けて、トラックや船の「共用」が広がっている。

 キユーピー、ライオン、日本パレットレンタル(JPR)の3社は、2018年8月から商品の共同輸送を開始した。関東〜九州間で、大型トレーラーを共用する。従来は、それぞれでトラックを手配して荷物を運んでいた。そのため、合計10人の運転手が必要だったが、幹線輸送の大部分をトラックからフェリーに切り替えたこともあり、3分の1の3人で済むようになった。

 トラックより船舶の方が輸送時のCO2排出量が少ないため、従来と比べて62%以上のCO2削減効果を見込む。「トラックの燃料費や運転手の人件費が上がっており、今後はさらに上がる可能性がある。先のことを考えるとコスト削減も期待できる」(キユーピーロジスティクス本部本部長の藤田正美・執行役員)と言う。

■ 3社による共同輸送で環境・社会課題を解決
キユーピーとライオンは、大型の20tトレーラーを共用する(右写真)。幹線輸送をトラックから船へ切り替えることで、運転手の負担とCO2排出量を減らした

 味の素など食品メーカー6社やビール4社など、同業同士の共同輸送が広がっているが、食品メーカーと日用品メーカーという業界を超えた今回のような連携は珍しい。

「香り移り」も問題なし

 共同輸送の具体的な流れはこうだ。関東から九州までの往路はキユーピーの荷物を運び、九州から関東までの復路はライオンの荷物を運ぶ。JPRは両社が使う輸送用パレットを提供する。これまでは、この区間をすべてトラックで運んでいたが、東京港(東京都江東区)と新門司港(北九州市)までの間は関光汽船(下関市)が手配するフェリーを利用する方法に切り替えた。

 フェリーは1回で運べる荷物の量が多いため、トラックより輸送頻度が少なくて済む。従来は10tずつ運んでいたのを一度に20tずつ運べるようになった。

 今回の共同輸送で、キユーピーが気にしたのは、「香り移り」である。ドレッシングなどを積んだトレーラーでハンドソープなども運ぶので、食品に洗剤の香りが移らないか心配されたが、品質保証部が点検した結果、問題はなかったという。

 キユーピーは共同輸送の他に、配送先での検品作業を無くした「検品レス納品」の導入を広げている。商品の出荷時に検品を済ませておくことで、配送先での運転手の待機時間を減らす。既に検品レス納品を導入している加藤産業に加えて、2018年6月に三菱食品と同様の取り組みを開始した。近く、日本アクセスとも取り組む予定である。

 安定輸送の確保へ、トラックの運転手の負担を軽減することが荷主企業にとって欠かせなくなっている。