相馬 隆宏

巨大台風やゲリラ豪雨の被害が世界で拡大している。企業は水災害に加えて水不足という危機への対応力が求められている。

 2018年9月、非常に強い台風21号が日本に上陸し、関西国際空港が高潮で冠水するなど大きな被害をもたらした。気候変動の影響とみられる巨大台風やゲリラ豪雨などが世界で頻繁に起きるようになり、被害も拡大している。企業や国・地域は水災害への対策が求められている。水不足という別の危機への対応も必要だ。

 こうした背景から、株式市場でも水インフラの構築や水処理を手がける企業が注目を集める。米水処理大手ザイレムはその1社だ。水分野の専門家が集まる国際会議のために来日したパトリック・デッカー社長兼CEO(最高経営責任者)に聞いた。

――2017年の収入は47億ドル(約5300億円)となり、2017年度から約25%伸びた。最近5年間では年率4%で成長している。要因は何か。

パトリック・デッカー氏
米ザイレム社長兼CEO

パトリック・デッカー氏(以下、敬称略) 排水規制が強化されているのも要因の1つだが、まず単純な事実として水が不足していることと、気候変動による自然災害に対するレジリエンス(復元力)が求められていることがある。

 当社の事業で速い成長が見込めるのが、「水処理」と「スマートメーター」だ。この2つで毎年2桁の成長が期待できる。

 水処理については、排水処理の重要性が増していることから規制が強化されていること、水不足で多くの事業者が水の再利用を求めていること、そして雨水越流への対策が求められていることが成長要因に挙げられる。世界中でゲリラ豪雨が頻繁に発生し、洪水を引き起こしている。企業にとって重要な課題だ。

 水漏れなどを検知して上下水ネットワークを効率的に運用するスマートメーターに関しては、水漏れの防止や長寿命化が大きな課題となっている水道事業者のニーズが大きい。

 当社は、配管から収集したデータを活用して、水漏れなどの経年劣化をいち早く検知して対策を打つことで維持管理コストを減らすのに貢献できる。水漏れは、本来、収入になったはずのものを無駄にしているわけで、利益を圧迫する要因になる。何か問題が起きてから対応するという受け身の姿勢ではなく、前もって手を打つことで費用対効果を上げられる。

――巨大台風やゲリラ豪雨への対策がますます重要になっている。

デッカー 上下水ネットワークをスマート化することは対策の1つになる。当社のセンサー技術を使えば、ゲリラ豪雨などの事象をリアルタイムで把握できる。自然災害が起きている国では、ポンプをすぐに動かして水位を下げる技術が生きる。

――自然災害の復興にも積極的に貢献している。

デッカー 当社の活動は利益のためだけに取り組んでいるわけではない。社会的責任を果たす企業として、困っている地域社会があれば手を差し伸べるという信念がある。欧米の投資家の間では、社会的責任を果たしている企業に対する投資意欲が高まっており、当社はそうした要求にもぴたりと当てはまる。