未病や生活習慣病への対策、がんなどの早期発見、医師不足対策など、医療や健康に関連した課題は多様だ。人生100年時代を迎え、健康への意識はますます高まっている。そんな数々の課題を、技術をうまく活用することで解決しようと取り組んでいるのが、ヘルステック・スタートアップである。

2018年12月4~5日にかけ、「Health 2.0 Asia - Japan 2018」(主催:メドピア)が渋谷・ヒカリエホールにて開催された。Health 2.0は2007年に米国カリフォルニア州で始まったヘルステックのイベント。そのピッチコンテストの様子から、日本のヘルステックの“今”を見てみよう。

Ubie代表取締役 久保恒太氏

最初に紹介するのは、紙の問診票をデジタルに置き換えるAI問診ソリューションを提供する「Ubie」だ。同社のサービスでは、患者はタブレットなどの端末上で体の部位にタッチして、自分の症状を細かく入力していく。通常、紙の問診票では定められた質問に印をつけてチェックするだけだが、UbieではAIが一人ひとりの症状に合わせた質問をするようになっている。これにより、診察前に患者から多くの医療情報を把握できる。

これまで以上に詳細に症状を事前に伝えることができため、患者には安心感が生まれる。入力された情報はそのまま電子カルテにコピーできるため、医師にとってもデスクワークを軽減できるメリットがある。医師の作業時間を短縮できれば、空いた時間を診察に充てられるなど、病院経営の健全化にもつながる。

Ubie代表取締役の久保恒太氏は、AIにも自信を持つ。国内外5万件以上の論文を医師のチームが5年以上かけて収集し、データベース化。医師のリアルな問診データによる教師あり学習を行い、推測精度の高いアルゴリズムを日々強化している。2017年の提供開始以来、延べ50件以上の病院・クリニックに導入され、あるクリニックでは外来の問診時間が約3分の1に短縮される効果が出た。

デイブレイク 代表取締役の木下昌之氏

次に紹介するのは“食”の観点から健康を支えようとしているデイブレイク。同社は特殊急速冷凍技術によってフードロスを解消するビジョンを掲げる。代表取締役の木下昌之氏は70年続く老舗冷凍業の3代目で、2013年7月にデイブレイクを創業した。

「特殊急速冷凍では食品が凍るマイナス1度~マイナス5度の温度帯をすばやく通過させる。氷の結晶を小さいまま凍らせて細胞を破壊しないため、解凍後もほぼ復元できる」(木下氏)。同社では東京の大田市場で廃棄される国産フルーツを材料に、特殊急速冷凍によってパッケージした「HENOHENO」を商品化。2019年2月をメドに、福利厚生や健康経営の一環としてオフィスに提供するBtoBサービスを展開予定である。「低価格で美味しいフルーツが食べられる。罪悪感のないおやつとしても最適だ」(木下氏)。

大田市場で廃棄されるフルーツは年間2400トン以上にも上り、木下氏によればその大半がスーパーで売られてもおかしくないクオリティだという。同社では“もったいないをウエルネスに変える”を合言葉に、HENOHENOを起爆剤としてフードロス解決の糸口を探っていきたいとしている。