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干瓢(かんぴょう)生産者を訪ねて

(2016/09/06)

 社会派レシピスト、食の探偵団・団長、のサカイ優佳子です。

 ある講座の一環で、栃木県小山市での干瓢作り体験の日帰りフィールドワークを企画しました。8月の初めのその日は、今年の干瓢作りももう終わるという時期に当たりました。

 そう、乾物にも旬があるのです。

 収穫したけれどその時期に食べきれないものを乾かすことによって年間通して食べていけるように作られた保存食が乾物。干瓢の原料となる夕顔の実は、7月から8月上旬に収穫されます。

 この日の一行は総勢30余名。一人一玉、8~10kgはあろうかという干瓢の実を剥く体験をさせていただきました。

♪猛暑の中での皮剥(む)き作業

 駅から乗ったバスから降り立つと、灼熱の太陽を遮るものは何もない畑! 説明を聞きながらタブレットでメモを取っていると、いきなり画面が黒くなり「高温注意! 本体温度が下がるまでお待ちください」とメッセージが出てフリーズしてしまう始末。それほどに暑かったのです。

 そんな暑さの中、毎日300個(3トン近い!)を収穫して作業場に移動し、干瓢を剥くための手作りの機械で剥き、ハウスの中に干すという作業を6~7人でこなしているというのですから、相当な重労働です。ほぼ1日で干し上げる夕顔の実の長い薄切りから一気に蒸発した水分が充満するハウスの中の湿度と温度と言ったら、、。乾燥を促進するための大きな扇風機からは熱風!「こまめに水分を補給しましょう!」しなければ倒れそうです。

 ランチは地元のレストランで。事前にお願いして、干瓢をつかったオリジナリティ溢れる料理を作っていただきました。

♪「国産乾物が高いと感じていたのは間違いだった」という声も

 実は畑に行く前には、参加者の半分以上が干瓢は何から作られているのかを知らないというほどに干瓢のことを深く考えたことがない一行でした。それほど、ある意味地味な食材なのかもしれません。

 でも、いやそれだけに、実際に現場に足を運んでみると、先入観にとらわれない発見や驚きもあり、多くの質問が飛び交い、生産者の方々への感謝の声が上がったのでした。「国産の干瓢って高いなと感じていたんですが、これを見たらそんなことを思わなくなりました」という感想も。

 真夏の太陽の下での作業がきつくてやめていってしまう農家、機械の作り手もいなくなってしまう現実。この生産者さんは日本から種を持ち込み、海外で生産、加工して日本に輸出するビジネスもしています。そうせざるをえない国内の状況があるわけです。日本の農業、食の未来を考える契機もいただきました。

 その後、「干瓢を初めて煮てみました!」「●●●さんの干瓢を地元のスーパーで発見!」などの報告も多数もらいました。

 人の顔が見えること、五感で体感することで食への見方は変わる。

 そんなことを改めて実感した1日でした。

♪干瓢の煮物以外の使い方のヒント

干瓢とアスパラガスの炒め物

 味噌汁やカレー、シチュー、スープなどにそのまま入れて(元が瓜だと思えば納得、ですよね)。精進料理では干瓢ダシというのもあるほど。現代の味覚からするとそこはかとない感じのダシですが。

 好みの柔らかさまで茹でてから炒め物に加えて。ニンニクと唐辛子と共にオリーブオイルで炒めて塩胡椒、なども。

注意
・漂白したものは、漂白剤を落とすため、塩もみして一度湯がいてから使ってください。
・無漂白のものはそのまま使うことができます。

お知らせ

9月22日にサカイさんの新刊が発売されます。「毎日食べたい乾物ヨーグルトレシピ決定版」(世界文化社)。

発売を記念して、9月27日に東京・日本橋三越でサカイさんの講座が開かれます。
詳しくはこちらから。

乾物レシピがEテレの番組に! テキスト好評発売中

サカイ優佳子さんが提唱する、乾物をヨーグルトでもどす調理法を紹介したNHK Eテレの番組『まる得マガジン』のテキスト「からだイキイキ!簡単でおいしい ヨーグルトでもどす乾物レシピ」(NHK出版617円、左)、とムック『ヨーグルトでもどす魔法の乾物レシピ』(主婦の友社864円、右)。それぞれ好評発売中です。

サカイ優佳子ホームページ : http://yukakosakai.net

DRYandPEACE(代表理事:サカイ優佳子)のホームページ:http://dryandpeace.com

********サカイ優佳子(さかい・ゆかこ)プロフィール 「五感を重視した食育ワークショップ『食の探偵団』を2002年より田平恵美とともに主宰。田んぼを残したいという思いから07年より米粉の利用法の提案を続け、11年からは『乾物は未来食』という思いから伝統的乾物の新しい使い方や、世界各地の乾物の知恵、料理法の研究を開始。DRY AND PEACEプロジェクト推進中。著書に『感じる食育 楽しい食育』『米粉ランチ』等。
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