Topics

日本人の腸にすむ、海苔を消化するバクテリア

(2016/12/14)

 社会派レシピスト、食の探偵団・団長、のサカイ優佳子です。

 イギリスの科学雑誌Nature(ネイチャー)誌で2010年に発表された論文によれば、海苔を代表とするある種の海藻類に含まれる糖分を分解する海洋性のバクテリアは、日本人の腸内には頻繁に見られるのに、北米の人たちにはないのだそうです。いつ頃から日本人はそんなバクテリアを持つようになったのか、またどうして親から子にそれが伝わるのかはまだ不明とLA Timesの記事でも報道されました。人間のカラダには発見されていないフシギがまだまだあるのですね。

「海苔はカラダにいい」と言われますが、その良さを十分にカラダに取り込めるのは日本人が古くから海苔を食してくる中で獲得したバクテリアがあるからこそで、今まで伝統的に海藻類を食べてこなかった人たちにとっては健康への貢献度は低いということになりそうです。

♪スーパーフードが流行する裏側で起きていること

 スーパーフードという言葉がここ数年メディアをにぎわせ、今まで食べたことがなかった食材が海外から急に大量に輸入される現象がみられます。

 食によってカラダが作られていくことを思えば、より効率的に栄養が摂れる食材を選びたいと思う気持ちはわからなくはないのですが、この海苔のエピソードにもあるように、今まで食べたことがない食材を十分に消化し、その栄養を摂り込めるかは実は「?」のところもあるかもしれません。

 そして一方でそうした急な需要増は、その食材を常食している現地の人たちがそれを入手するための価格が急騰することに繋がる場合もあるという事実を意識する必要もあります。

♪「カラダ」に聞いてみる

 「これさえ食べればなんでも解決する」と言わんばかりの宣伝に乗せられて「これさえ食べておけば大丈夫」と安心したいと思う消費者の意識の裏には、何を食べたら健康になれるのか、どうしたら十分に栄養が摂れるのか、といった「健康」への過剰反応とある種の思考停止があるように思えるのです。

 今、改めて取り戻したいのは、「アタマ」よりも「カラダ」に聞く習慣です。暑くなってきたら酸っぱいものが食べたくなる。食べ過ぎた翌日にはあっさりした軽いものが食べたい。食欲がある日もない時もある。猫が調子が悪いと草を食(は)む知恵を身につけているように、私たち人間にもカラダの声は耳をすませば聞こえるはずです。ファスティングが流行するのも、カラダをリセットすることでカラダの声が聞きやすくなるからなのかもしれません。

 パーティーシーズン、年末年始、ご馳走を食す機会が増えます。そんな時こそ朝や昼には日本で伝統的に食されてきた食材、料理を少なめにじっくり味わい、カラダの声を意識する時間を持ちたいなと思います。

海苔ドレッシング

(材料)焼き海苔全形1枚、かつおぶし1g、バルサミコ大さじ1、水大さじ2、砂糖小さじ1/2、オリーブオイル大さじ1

以上の材料をフードプロセッサーに入れて攪拌する。

お知らせ

2016年、話題を呼んだサカイさんの著書「毎日食べたい乾物ヨーグルトレシピ決定版」(世界文化社)。

乾物をヨーグルトで戻すという食べ方を提唱したサカイさんならではの、とっておきレシピが多数紹介されています。肉や魚と合わせた主菜やスイーツ、朝食レシピまで毎日の食卓のヒントが載っています。

********サカイ優佳子(さかい・ゆかこ)プロフィール 「五感を重視した食育ワークショップ『食の探偵団』を2002年より田平恵美とともに主宰。田んぼを残したいという思いから07年より米粉の利用法の提案を続け、11年からは『乾物は未来食』という思いから伝統的乾物の新しい使い方や、世界各地の乾物の知恵、料理法の研究を開始。DRY AND PEACEプロジェクト推進中。著書に『感じる食育 楽しい食育』『米粉ランチ』等。
▲ページTOPへ