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本当においしい昆虫食との出会い

(2017/01/01)

本当においしい昆虫食との出会い

 社会派レシピスト、食の探偵団・団長、のサカイ優佳子です。

 先日、縁あって「地球少年」こと篠原祐太氏に昆虫食料理を食べさせていただく機会がありました。

♪揚げたては格別!おかわりも

 以前、フランスで売られている昆虫の乾物を食す機会があったのはこの連載でも書きましたが、クリスピーな食感は悪くはないものの特別に美味しいとは思いませんでした。苗族の文化が色濃いことで知られる湖南省の鳳凰という町を今年初めに訪れた時も、名物の蜂料理を堪能したのですが、やはり食感ばかりが印象に残り、もう一度食べたいというほどには思えませんでした。

 でも今回は、本当に美味しかった!食べたのはヨーロッパイエコウロギとゴミムシダマシ。フランスの乾物と種類は同じです。昆虫にも美味しいものとそうでないものは当然あり、この二種は美味しいということなのでしょう。ちょっと前まで生きていたのを油で揚げたものは、鮮度抜群のせいかカリっとした外皮と白子を思わせるトロンとした中身、鼻に抜ける温泉卵のような香りが思いの外の美味でおかわりしたほど。未知なる美味との遭遇といっても言い過ぎではありませんでした。

♪世界では20億人が食べている

 2013年にFAO(国連食糧農業機関)が出した昆虫食報告書「Edible insects Future prospects for food and feed security」によると、世界では20億人が昆虫を食料としており、1900種以上の食用昆虫が確認されているといいます。牛肉を育てる1/4の飼料で同量のコオロギを育てることができ、排出する温室効果ガスはミルワーム(ゴミムシダマシの幼虫)の場合豚の1/10以下と環境負荷が少ない上に、肉類に比較して育てるための水も土地も少なくて済みます。たんぱく質やミネラル類も豊富で栄養的にも評価できるとのこと。

 不慣れなためにその見た目で拒否反応を示す人が多いのは想像がつくところではありますが、この日の最後のデザートは昆虫を粉にしてパンナコッタに混ぜたもので、こうした食べ方であればわからないうちに食べてしまうこともできるでしょう。人口増、特に中流層の増加によって世界的に動物性タンパク源の需要が増えていることもあり、今後10年で少なくとも家畜や魚の養殖のための飼料としての昆虫の養殖は広まるだろうとFAOは予測しています。

 ところで、予約が取りにくいことで有名なレストランの一つ、デンマークのNOMA。映画にもなっているのでご存知の方もいると思いますが、その看板メニューが牛肉のタルタル(生肉)に蟻の塩漬けをたっぷりとトッピングした料理。蟻にはビタミンCが豊富に含まれているものも多いとのことで、それがこの料理の酸味になっているのだそうです。一流のシェフたちが昆虫料理を店で出していけば、昆虫食への「偏見」も何年か後には払拭されていくかもしれません。

 さて、美味しい昆虫食料理をご馳走してくれた「地球少年」は、美味しい虫を探しに先日アマゾンに旅立ちました。どんな発見があるのか。帰国報告会を楽しみにしています。

お知らせ

「毎日食べたい乾物ヨーグルトレシピ決定版」(世界文化社)。

乾物をヨーグルトで戻すという食べ方を提唱したサカイさんならではの、とっておきレシピが多数紹介されています。肉や魚と合わせた主菜やスイーツ、朝食レシピまで毎日の食卓のヒントが載っています。

サカイ優佳子ホームページ : http://yukakosakai.net

DRYandPEACE(代表理事:サカイ優佳子)のホームページ:http://dryandpeace.com

********サカイ優佳子(さかい・ゆかこ)プロフィール 「五感を重視した食育ワークショップ『食の探偵団』を2002年より田平恵美とともに主宰。田んぼを残したいという思いから07年より米粉の利用法の提案を続け、11年からは『乾物は未来食』という思いから伝統的乾物の新しい使い方や、世界各地の乾物の知恵、料理法の研究を開始。DRY AND PEACEプロジェクト推進中。著書に『感じる食育 楽しい食育』『米粉ランチ』等。
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