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私の時間もお金になる?「シェアリング」経済との付き合いかた【前編】

(2016/01/19)

 空きスペースや乗り物、ものや時間を個人間で貸し借り、交換、共有する、シェア(共有)という言葉をよく聞くようになりました。インターネットによるインフラが整った今、世の中そして経済は、どう変わるのでしょう? 2度に分けて考えます。

♪シェアリングサービスを提供するベンチャー企業6社が協会を設立

 シェアという言葉からすぐ思いつくのは、1つの仕事を短時間の労働者が分け合う「ワークシェア」、一軒の家を共有する「シェアハウス」、一台の車を時間貸しで借りる「カーシェア」などでしょうか。スマホのアプリを使った配車サービス「Uber(ウーバー)」、宿泊所サービスのAirbnb(エアビーアンドビー)などのサービスに興味がある、利用したことがある人もいることでしょう。

 インターネットやSNSを活用していると、さまざまなシェアリングサービスの情報が目に入ります。昨年12月、そうしたシェアリングサービスを提供するベンチャー企業6社が「シェアリングエコノミー協会」を発足させました。同協会はシェアリングエコノミーを「『場所』『乗り物』『モノ』などの遊休資産を、インターネット上のプラットフォームを介して、個人間でシェアする新しい経済の動き」としています。

 シェアリングエコノミーを業界全体で活性化させて健全に発展させていくとともに、理念の1つ目には「すべての人が様々なカタチで、経済行為に参加できる社会の実現」もうたわれています。これは政府の「一億総活躍社会」にもつながりますね。

♪シェアリングエコノミーが爆発的に伸びている背景には技術革新も欠かせない

「シェアリングエコノミー協会」の理事の1人であり「ANYTIMES」の代表、角田さん。「シェアリングエコノミーの仕組みを、学生時代からの夢だった途上国支援に役立てるのが次の目標」と語ります

「当社を設立した2013年当時は、シェアリングといわれてもまだピンとこない、という反応が多かったですね。昨年の『ユーキャン 新語・流行語大賞』の候補に『ミニマリスト』が入ったように、必要なときにすぐ買うのでなくシェアするという選択肢も持つという考えは、最近になって定着してきたように思います」

 そう語るのは、「シェアリングエコノミー協会」の理事であり、個人同士がネット上で契約して簡単な頼みごとのサービスの提供者や受け手となる "ご近所サポートシェア" サービス「ANYTIMES」のエニタイムズ代表取締役社長・角田(つのだ)千佳さん。

 シェアリングエコノミーが爆発的に伸びている背景には技術革新という要素が欠かせない、と角田さん。

「インターネットというインフラが整い、ものがインターネットにつながるIOTの技術も発達しました。企業から個人へだけでなく、企業の仲立ちによって、個人同士が手軽にものや時間を直接取引できるシェアリングサービスも増えてきています。サービス分野のEコマースは11兆円といわれる巨大市場。これからますます、新規サービスが増えていくでしょう」

♪シェアリングには「昔のコミュニケーションが戻ってきただけ」の側面もある

「気に入ったものは買うけれど、借りるだけで済むなら借りる」「使わないものや時間は人のために提供する、さらにお小遣い稼ぎにもなるなら魅力的」長いデフレ時代を経てきたこともあり、こうした考えが合理的でシンプル、とポジティブに受け入れる人は多いでしょう。

 シェアリングサービスを行っている企業のウェブサイトはシンプルでスタイリッシュ。こうした親しみやすいインターフェースを作ることで、サービスに入りやすくする工夫は各社とも意図的に行っているようです。

 ところで私たちが最も心配するのは、インターネットを介して知らない人とやりとりすることで発生するトラブルです。

「特に個人間のサービスということもあって、当社もサービスの立ち上げ時に、いろいろなことを想定してトラブルシューティングを用意していました。ところが実際にサービスがはじまってみると、想定していた10%程度のトラブルしか起きなかった。これは意外でした」(角田さん)

 その理由は「責任感が生じた」ことにあったのではないか、と角田さんは分析します。

「ANYTIMES」は登録した「ご近所サポーター」がいわば個人事業主となって、家事や買い物などちょっとした困りごとの依頼を受けます。実際に会うなどして依頼された仕事を行い、終わったら依頼者がネット上で仕事がどうだったか、評価・採点します。

「いい仕事をすると評価してもらえますし、『頼んだことをやってもらえなかった』という残念な評価を受けることもあります。こうした仕組みを作ることで、全ての責任は自分にあるのでトラブルを起こさないようにするといった、エコシステムが働いているようなのです」

 さらに角田さんは興味深いことを語ってくれました。「じつは当社のような空き時間を使った助け合いのサービスは、新しいものではありません」

 それは競合他社という意味でなく、かつての私たちの暮らしです。「調味料の貸し借りをしたり、出かけるのでちょっと子どもを見ていてと預けたり。こうしたご近所づきあいって、昔からあったものです。インターネットを媒介としているだけで、はじめてしまえば懐かしさを感じると思います。お金は派生しますが、たくさん稼ぎたいというよりも、できることで役に立ちたい、人と知り合いたいという方も多いんですよ」

 後編では、実際にサービスを利用している人の声、シェアリングサービスを利用してお小遣いを稼ぐ上での注意点をまとめてみましょう。

シェアリングエコノミー協会 https://sharing-economy.jp/
参加企業(2016年1月20日現在)
ガイアックス http://www.gaiax.co.jp
スペースマーケット https://spacemarket.com
AsMama http://asmama.jp
エニタイムズ  https://anytimes.co.jp
ココナラ http://coconala.co.jp
クラウドワークス https://crowdworks.co.jp
サイバーエージェント・クラウドファンディング makuake http://www.ca-crowdfunding.com
********阿部祐子(あべ・ゆうこ)プロフィール

ecomomエディター、ファイナンシャル・プランナー(CFP)。知っておくと暮らしに役立つ、生活とお金まわりの情報をご紹介します。

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