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ecomom2017特別レポート 体験型環境教育プログラム『夏休み親子チャレンジ』を振り返って

(2017/10/31)

――主なターゲットを、生活者である大人ではなく、子どもにしたのはなぜでしょうか。

エクベリ:1つには、環境取り組みの目標年として設定されることが多い2025年や2030年に、社会を担っているのが子どもたちだからです。その中でも私たちの話を理解でき、かつ学んだことを素直に行動に移せる年ごろというと、小学5年生くらいかなと考え、この学年を対象にしました。

 加えて、サス研の意識調査を通じ、お母さん1人が環境にいいことをしようとがんばっても、家族の中で孤立してしまって続けにくいという現状が分かっていました。それじゃあ、家族みんなで取り組めるようにするにはどうしたらいいか。ディスカッションの末に行き着いた答えが、子ども向けにして、家族を巻き込もうということでした。

長谷川:意識調査を通し、大人の生活パターンを変えるのは至難の業だということもよく分かったんです。それならば子どもをターゲットにし、子どもというフィルターを通して大人を変えていったほうが近いのではないかと。

――サス研のこれまでの研究成果を反映させ、『夏休み親子チャレンジ』のプログラムを実施されたのですね。その点の手応えはいかがでしょうか。

エクベリ:子どもをターゲットにしたのは効果的でした。期待通り、保護者の方々も一緒になって取り組んでくださいました。例えば「ドライヤーリレー」と名付けて、ドライヤーを使う際は、家族みんなで一気に乾かしていこうという、ユニークな取り組みをされたご家庭もありました。子どもが主体になることで、ゲーム感覚で楽しくできたようです。

長谷川:「うちの子、こんなことも知っているのか」と、お子さんの新たな一面に驚いたという保護者の方もおられましたね。

柳田:子どもとの会話が増えたという声もありました。家庭で一緒にエコに取り組むことで、家族の絆が強くなったようです。これも環境の取り組みを暮らしに定着させる大きな要素だと思います。

 子どもたち1人1人をほめたことも、有効でしたね。

――ほめるというのは、DAY-3の最後の、子どもたち1人1人の取り組みに対する講評のことですね。「〇〇さんは、こういうところで工夫してくれたね」と、それぞれに声をかけておいででした。

長谷川:これも生活者とのダイアログで得たヒントです。子どもがほめられることで、親子ともに達成感を抱く。そうした感情もまた、環境行動を続けるうえでのモチベーションになるわけです。

 もちろん、お子さんたちそれぞれが、一生懸命にプログラムに取り組んでくれたからこそ成立することですが、現場で一緒に机を囲んだ各グループのサポーターも、よくお子さんたちの様子を見て、それぞれのいいところをほめていました。参加した保護者の方からも、この講評は非常に喜ばれました。

DAY-1から3回を通じて子どもたちの活動に寄り添ってきたサポーターたち。DAY-3の最後に1人1人に講評をおくった

エクベリ:川崎市という「地域」をテーマの1つにしたことも、よかったと思います。ホッキョクグマが減っているという、遠いところの話も大切ですが、子どもが自分たちと環境とのつながりを理解するうえでは、身の回りの環境から目線を広げていくほうが取り組みやすいですから。

「家でカレーをつくる」ことを起点に、家庭から地域、日本、地球へと広がる環境のつながりを、子どもたち同士で話し合い、確かめ合いながら図式化

宮川:地域という点では、正直言って、私自身も、例えば洗剤がどこでつくられたものか、考えたことはありませんでした。でも、これが市内の工場でつくられている、そこでは自然を守るためのさまざまな取り組みがなされていると分かれば、そちらを買いたくなります。お子さんたちも同じで、そこから地域の自然や産業に関心が広がっていったのだと思います。

――保護者の方からは、どんな声が寄せられましたか?

長谷川:企業に対する見方が変わったというご意見は多くありました。「1社だけでなく2社、さらに行政が主催者に加わることで客観性が増し、内容が納得できたし、友人にも話しやすい」という声もありました。

 こちらが意図した通りのことを感想として書いてくださった方も多くいます。「環境にいいことは大変だけれど、子どもとやっているうちに習慣化していた」と。子どもたちからは「自分が周囲の人にエコを広げて、そこからもっと他の人に広げてもらう」という決心も聞かれました。「ケチとエコが違うと分かった。これからは楽しくエコができそうだ」という意見も。お母さんのエコな取り組みを、ただケチをしているのだと思っていた子どももいたようです(笑)。

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