クローズアップ

デザイン決定プロセスを変革し住宅の付加価値を追求

羽賀 豊・LIXIL Housing Technology Japanデザインセンターセンター長に聞く

 LIXILのデザインが変わり始めた。その一例が屋根を一枚の板のようにデザインしたカーポート「LIXILカーポートSC」。2017年10月に発売すると、評判を呼び、「グッドデザイン・ベスト100」に選出された。  同社のデザイン改革を牽引するLIXIL Housing Technology Japan デザインセンターの羽賀豊センター長に改革の舞台裏を聞いた。

羽賀 豊 氏
LIXIL Housing Technology Japan
デザインセンター
センター長
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日経デザイン(以下、ND):羽賀さんがデザインセンター長に就任した経緯を教えてください。

羽賀:前職は、ソニーでオーディオやビデオなどの商品戦略立案に携わっていました。商品プロデューサー的な役割です。弊社に転職後、大きな組織変更があり、その中のテーマの一つにデザインの強化がありました。その担当を任命され、デザインセンター長に就任しました。

 LIXILグループは2015年4月に、国内外のグループ企業を、水回りの「LIXIL Water Technology(LWT)」、住宅建材の「LIXIL Housing Technology(LHT)」、ビル関連の「LIXIL Building Technology(LBT)」、キッチン関連の「LIXIL Kitchen Technology(LKT)」からなる4つのテクノロジー部門と、日本での販売・サービス事業を手がける「LIXILジャパンカンパニー」の5つの体制に移行しました。

 インハウスのデザイン部門はありましたが、責任の所在が不明確であったり、社内のデザイン決定プロセスが定まっていなかったりと、デザイン全体を統括した活動ができていないなどの課題がありました。

 LIXILには、「豊かな住生活に貢献する」という理念があります。住宅はユーザーが長く使うものなので、私は強くこれに共感しています。家電メーカーや自動車メーカーなどは、経営者がデザインに対して目を光らせています。そうした企業は、デザインを経営資源としてマネジメントし、大きな成果をあげています。

 弊社のデザインを改善するには、デザインに関する決定を経営マターにすることが重要だと考え、LHT Japanでは、LHT Japan CEOの直下にデザインセンターとして統合しました。

 これによって、テクノロジートップや各事業部長とデザインの意思疎通が近くなり、経営視点でデザインを議論、確認できるようになりました。

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LIXILのカンパニーとデザインセンターの関係

ND:LIXILでは、従来どのように製品のデザインを決定していたのでしょうか。

羽賀:商品企画担当、開発担当、担当デザイナーの3者の議論で決めていたケースが多かったのですが、一貫したプロセスは定まっていませんでした。担当者間の力関係で決まることもありました。そのため開発責任者に理解があれば、良いデザインになり、そうでなければデザインは後回しにされるケースもありました。その上、デザイナーに話がくるのは、設計開発がほぼ終わる段階だったので、仕上げのスタイリングによって見映えを良くすることぐらいしかできませんでした。

 担当者によってぶれるのではなく、誰がやっても再現性が高い方法で、デザインを改善するには、組織的にデザインを開発し、決定する必要があります。そこで、まず設計開発が始まる前段階からデザイナーがチームに加わり、今回の商品ではどこまでデザイナーが関わるかを議論することにしました。議論の内容は、製品開発に責任を持つ事業部長と共有します。そして、製品開発プロセスの中間と最終のタイミングで事業部長が、デザインを承認するというプロセスを踏むことにしました。

 デザインを良くするために、開発コストを上積みしたり、開発期間を伸ばしたりすることがあります。また、開発の進捗状況によってはストップしたり、やり直したりする経営的な判断が求められます。そうした判断を下す際の会議には、デザインセンター長として私も加わります。

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