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【ニュース&トレンド】: 2017年6月号

地元活性化を狙った「古墳」モチーフの駅前広場

公共のデザイン

2017年5月31日(水)

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古墳を想起させるデザインで駅前を演出(写真:太田拓美)

 地方自治体の多くが少子高齢化、過疎化、産業流出などさまざまな課題を抱える今、デザインの力を活用して地方を元気にしようという動きも出てきている。そのひとつが奈良県天理市にあるJR・近鉄天理駅の駅前広場開発プロジェクトだ。

 2017年4月23日にオープンした「CoFuFun(コフフン)」は近隣住民の憩いの場、イベントや観光情報の発信の場として、さらに周辺地域の活性化を目的として再開発された駅前広場。約6000平方メートルにわたるスペースにカフェや自転車ショップ、観光案内所、屋外ステージのほか、子供向け遊具だけでなく、健康維持・増進に役立つ健康遊具も配置。老若男女を問わず日常的に利用できる。

 広場のデザインを担当したのは、デザインオフィスnendo の佐藤オオキ氏。天理市内に数多く存在し、日常生活に溶け込んでいる「古墳」をモチーフにデザインしたという。カフェや「ふわふわコフン」をはじめとする大型遊具はすべて円形古墳の形で、これが広場のアイコンとなっている。主な建造物のほとんどが、あらかじめ工場で製作した部材を現場に搬入して設置する「プレキャストコンクリート工法」でつくられており、コスト抑制に寄与している。

 佐藤氏は今回のプロジェクトに2014年から関わってきた。気を付けたのは、「いかつい建築」にならないようにすることだったという。「公共の施設ではあるけれども、求められていたのは開かれていて心地よいスペース。ある種の『緩さ』が大事だと考えた」(佐藤氏)。建造物の配置の工夫により、広場だが曲がりくねった路地のようなイメージを感じさせ、どこにいても適度な囲まれ感を得られるようにデザインしたという。

 CoFuFun(コフフン)というネーミングは、デザインのモチーフである古墳と、「フフン?♪」と思わず鼻歌を歌いたくなるような心地よさを提供したいという思いから来ている。

 天理市は今後、地元の産物や食を販売するマルシェ、各種セミナーなどを開催するなど、地元活性化のためにコフフンを活用していく考えだ。

①インフォ&ラウンジコフン
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インフォメーションセンターのほか、カフェ「パークサイドキッチン」と自転車ショップ「バイシクルカラー」がある
②ステージコフン
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200 人以上を収容可能な屋外ステージ。市民のライブやパフォーマンス、企業のPR活動など、天理・奈良の情報発信スペースとして活用
③多目的広場
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滑り台やボルタリングなど子供向けの遊具や、高齢者も利用できる健康遊具を配置。健康遊具は天理大学教育学部と協力して選定した
④ふわふわコフン
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砂場の中央に巨大なトランポリンを配置。トランポリンに駆け上ったり、飛び跳ねたり、子供たちに大人気の遊具
⑤すりばちコフン
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木材で製作した巨大なすり鉢状の子供向け遊具。傾斜36 度のすりばちの壁をぐるぐる走り回ったり、上から滑り降りたりして遊べる
⑥テーブルコフン
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円形古墳そっくりの階段状のスペース。弁当を広げたり読書をしたりと、使い方はさまざま
⑦コフフンショップ
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天理を中心とした奈良県内でつくられた産品を展示販売する。ショップの前のスペースで毎月第2 、4 日曜日にコフフンマルシェを開催(写真:太田拓美)
⑧南団体待合所
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JR 天理駅の高架下スペースにある団体列車利用客の待合所は、パブリックスペースとして各種講座やワークショップにも利用可能(写真:太田拓美)
(花澤裕二)

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