クローズアップ

【ニュース&トレンド】: 2016年8月号

新たなスタイルの日本旅館“星のや東京” が誕生

もてなしのデザイン

2016年8月31日(水)

[画像クリックで拡大表示]
建物の正面玄関付近。2 階の窓から障子のようなしつらえが見える (写真/星野リゾート)

 地域の個性や旅の嗜好に合わせた、多彩なブランドの宿泊施設やリゾート施設を展開する、星野リゾート。2016年7月20日、星野リゾートを代表するブランド「星のや」の最新施設、「星のや東京」が東京・大手町にオープンした。星のやといえば、軽井沢や京都、竹富島などにあり、森林や海を臨む豊かな自然の中に客室や食堂などの施設が余裕をもって建てられ、ゆったりとした時間が流れる宿泊施設のイメージだ。それに対し、星のや東京は地下2階、地上17階のビル。客室は1フロア当たり6室、計84室とコンパクトな印象だ。

 星のや東京のメーンテーマは「日本旅館」。館内はほぼ全域が畳敷きでつながり、客室も畳、竹素材と和紙などを取り入れた和の空間が表現されている。企画を進めている際に、東京都心で日本旅館に泊まる人は少ないのではないかという意見もあったと言う。

 そうしたなかで星野リゾートの星野佳路・社長は、欧米の一流ホテルに遜色のない機能性、利便性を確保しつつ昔ながらの魅力を持つ日本旅館を目指した。さらに今後の展開として、日本旅館を世界のホテルのひとつのカテゴリーとして確立することを目標に揚げた。「東京に来たから日本旅館に泊まるのではなく、快適でリラックスできるから日本旅館を選んだ。そうお客様に認めてもらえれば、日本旅館を世界で展開するチャンスが生まれる」と星野社長は語る。

 こうした背景から、星のや東京にはこれまでの東京にあるホテルとは大きく異なるスタイルの、おもてなしのデザインが盛り込まれている。

[画像クリックで拡大表示]
建物の正面玄関付近。2 階の窓から障子のようなしつらえが見える (写真/星野リゾート)

 まずは宿泊施設の入り口付近のデザインだ。星のやではいずれも、来客が圧倒的な非日常の世界に浸れるよう、入り口付近に工夫を凝らしている。非日常が始まる前に、日常のものをある程度捨ててもらう必要があるからだ。そのために、「星のや軽井沢」では、離れた場所の駐車場に車を停めてから専用のバスで施設に行き、「星のや京都」では川を船で上り施設に向かう。

 東京では、そのように周囲の自然環境を利用することは難しい。そこで、星のや東京の場合、日本旅館ならではの“玄関”を設けて、施設に入ってすぐに靴を脱いでもらうことで心理的な切り替えを狙っている。玄関の天井は可能な限り高くしたと言い、その高さを非日常の空間演出とした。さらに、靴を脱ぐという儀式によって宿泊客に現実を忘れてもらうという趣向だ。

 しかし、客室84室に宿泊する約200人分の靴を収納し、帰るタイミングに合わせて出すのは至難の業だ。星のや東京では靴箱の番号札を渡すといった旧来の方法ではなく、IT技術を取り入れてその課題を解決した。客室の鍵とエレベーター内の装置、玄関を連動させて、宿泊客がエレベーターを降りたときにはすでに靴が出ているか、すぐに出せる状態になっているという。

[画像クリックで拡大表示]
客室。竹、和紙などの和を表現する素材を数多く取り入れた(写真/星野リゾート)

日経デザインのサイトへ

本サイトは更新を終了しました

 4月2日に創刊した「日経クロストレンド」のウェブサイトで日経デザインの記事が読めるようになりました。最新記事は日経クロストレンドでお読みください。

 本サイトは更新を終了しました。2019年3月31日に閉鎖する予定です。長い間ご利用ありがとうございました。