クローズアップ

第9回「クリエイティブのABC」: 2015年11月号

「ノット・デザイン・オア・エンジニアリング」で自由な発想を

takram design engineering代表、田川欣哉氏

ブランディングデザイナーの西澤明洋氏が聞き手となり、クリエーターの創造的思考や行動を公開インタビューで探る「クリエイティブのABC」(企画協力は青山ブックセンター)。今回の相手は、デザインとエンジニアリングを融合させた“デザインエンジニア”として活躍している、takram design engineering代表の田川欣哉氏。

西澤:takram design engineeringを率いる田川欣哉さんは、デザインとエンジニアリングの両方の専門性を融合させたデザインエンジニアリングを手がけることで、アプリや映像ソフトから、タブレットや自動車関連など、幅広いプロジェクトに携わってきています。通常のデザイン会社は、デザイナーとエンジニアがチームワークで仕事をする例が多いと思いますが、takramではデザインとエンジニアリングの両方を1人が備えることで何が起こるのかを、ひたすら追求し続けていると聞きます。建築家やグラフィックデザイナー、サービスデザイナーといった多様なプロフェッショナルが所属されているので、どうやってプロジェクトを進めているのかなど、新しい働き方についてもお聞きしたいと思います。まずは田川さんがtakramの設立に行き着くまでを教えてください。

田川:僕は1976年生まれなんですが、この年代はゲームの『ドラゴンクエスト』世代なんです。そこでは1人で戦うのではなく、チームをつくって敵をやっつける。そして「魔法使い」の後に「僧侶」となって「賢者」になるといったジョブチェンジの仕組みがありました。私自身、そうした世代としての影響を受けているのかなと思っています。

西澤:なるほど。私もまさしく同世代ですね(笑)。

田川:takramを起業する前には、プロダクトデザイナーとして知られる山中俊治さんの下でスタッフをしていました。だから今の僕のスタイルには、山中さんが大きく影響しています。スタッフとしての5年間、実は山中さんの自宅で住み込みとして働いていたんです。デザインを志す人は多いと思いますが、いまどき住み込みで働いたことのある人はあまりいないでしょう。これって僕がすごく自慢できる点でもあります(笑)。

西澤:そうなんですか。住み込みって、どんな仕事をするのでしょうか。

田川:朝起きてまず机や玄関を掃除し、その後には打ち合わせなどにも同行します。ご自宅の空いている部屋に住まわせてもらっていました。そうした苦学生みたいな生活を、20台前半から20台後半まで続けていたので、もう僕の青春はありませんでした(笑)。

(写真右)田川欣哉(たがわ・きんや)氏●1976年生まれ。takram design engineering代表。99年東京大学工学部卒業、2001年英ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修士課程修了。デザインエンジニアとして、ユーザーインターフェースからプロダクトなど、幅広く商品やサービスの開発を手がける。代表作に日本政府のビッグデータビジュアライゼーションシステム「RESAS」のプロトタイピングや、NHK Eテレ「ミミクリーズ」のアートディレクションなどがある。2014年より英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート客員教授。(写真左はエイトブランディング代表の西澤明洋氏)(写真:丸毛 透)

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