クローズアップ

アーキテクチュアル・シンキング アイデアを実現させる建築的思考術

企業経営もデザイン立案も、「コンセプト」が重要に

KIRO代表、多摩大学大学院教授・紺野登氏

ブランディングデザイナーの西澤明洋氏が、建築系の出身でありながらも現在は建築系以外の分野で活躍するデザイナーやクリエーターなどにインタビューし、発想の原点を探っていく連載「アーキテクチュアル・シンキング アイデアを実現させる建築的思考術」。今回、登場するのは、KIRO(知識イノベーション研究所)代表で多摩大学大学院教授など、知識創造経営やイノベーション研究の分野で活躍する紺野登氏。日経デザイン誌面に掲載した同コラムの前編と後編を、1つにまとめてお送りする。

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KIRO代表 多摩大学大学院教授・紺野登氏(こんの のぼる)●早稲田大学理工学部(現・理工学術院 創造理工学部)建築学科卒業。KIRO代表、多摩大学大学院教授。知識経営変革、ナレッジマネジメント、デザイン経営戦略、ワークプレイス戦略などを手がける(写真:名児耶 洋)

西澤:僕は建築家になろうと思い、京都工芸繊維大学に入学しました。在籍中に紺野さんがお書きになったデザインマネジメントやナレッジマネジメントといった分野の書籍を読み、非常に感銘を受けました。現在はブランディングデザインを専門にしていますが、デザインマネジメントは僕が一貫して関心を持っているテーマであり、僕自身、紺野さんからは大きな影響を受けたと思っています。

紺野:そうですか、ありがとうございます(笑)。

西澤:紺野さんも建築出身で、現在は日建設計の顧問であり、一方でKIRO代表をはじめ、一般社団法人ジャパン・イノベーション・ネットワーク代表理事、多摩大学大学院教授として知識経営論を担当するなど、知識創造経営やイノベーションの分野で幅広く活躍しています。そこで本連載にもご登場いただき、建築的思考術という視点でお話をお聞きできればとお願いしました。

 僕らの世代では建築出身ながら、さまざまな分野で活躍している人が多いようです。そこには、建築出身ならではの発想や思考の方法が活かされているのではと感じています。インタビューを通じ、そうした部分を解き明かしたいというのが連載の趣旨です。今では多くの肩書を持つ紺野さんも建築出身と知って驚きました。

紺野:私は早稲田大学の建築学科を出て社会人になって以降、最初は広告会社に入りましたが、その後は自分でデザイン戦略や新事業コンサルティングなどを手がけました。いわば研究しながら実践するという意識で取り組んできましたが、柱になるのはデザインや建築の知識でした。その後、一橋大学の野中郁次郎・名誉教授とも「場」の理論などを研究し、今はイノベーションの仕事を中心に多摩大学大学院に籍を置きながら、日建設計の顧問をさせていただくなど現実のビジネスの世界にも足を踏み入れています。このほか大手メーカーなどのデザイン部門に対してコンサルティングも行ってきました。こうした根底には常に理論と実践があり、研究者の面と、ビジネスの面を行ったり来たりしているわけです。

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西澤明洋氏(にしざわ あきひろ)●ブランディングデザイナー/エイトブランディングデザイン代表。1976年滋賀県生まれ。企業のブランドから商品・店舗開発など幅広いデザイン活動を行う

西澤:デザイン部門に対するコンサルティングとは、どのようなことですか。

紺野:例えば、ある大手メーカーで家電を担当してきたデザイン部門の場合、家電分野から撤退するとトップが判断すれば、デザイン部門の存在自体が危ぶまれます。そのとき、当時のトップと「デザイン部門をなくす必要はない」と、これから来るであろうユーザー・エクスペリエンスの時代を説きました。その企業はデザイン部門の役割を大幅に見直し、今ではイノベーションを主導する部門として活躍しています。

 このケースのように、最近の企業のデザイン部門に求められる役割は従来とは大きく変わってきています。ブランディングを手がけるデザイン部門もありますし、商品だけでなく街や都市全体をデザインしようとする動きさえあります。そうしたデザイン部門の新たな役割や方向性を一緒に考えさせていただくのも私の仕事です。

 ほかにも、一般社団法人フューチャーセンター・アライアンス・ジャパンの代表理事としての活動が最近は多くなっています。これはフューチャーセンターやイノベーションセンターなどのイノベーション創出の場を持つ企業、さらには自治体や官公庁などが相互連携し、オープン・イノベーションを加速支援するためのアライアンス組織です。

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