クローズアップ

第10回「クリエイティブのABC」

野菜を生かした商品開発で、農業の大切さを伝えたい

野菜スイーツ専門店「パティスリー ポタジエ」のオーナーパティシエール、柿沢安耶氏

2015年12月25日(金)

ブランディングデザイナーの西澤明洋氏が聞き手となり、クリエーターの創造的思考や行動を公開インタビューで探る「クリエイティブのABC」(企画協力は青山ブックセンター)。今回の相手は、野菜スイーツ専門店「パティスリー ポタジエ」のオーナーパティシエールとして活躍するほか、地元の野菜を生かした商品開発も手がける柿沢安耶氏。

西澤:柿沢安耶さんは、世界初といわれる野菜スイーツ専門店「パティスリー ポタジエ」を開店したオーナーパティシエールです。「おいしくて、からだにやさしいスイーツ」をコンセプトに、使用する野菜は「日本の農家を支援したい」と国産にこだわり、オーガニック野菜や無肥料・無農薬の自然農法の野菜を厳選しています。2006年に東京・中目黒で開店後、2013年には台湾で「レストラン&パティスリー」という新業態の店舗「ポタジエガーデン」や、2014年9月には2号店「ポタジエ ガーデン カフェ」もオープンするなど、日本独自のスイーツにおけるコンテンツを積極的に海外にピーアールしています。国内でも地方の自治体と組むなど地元の野菜を生かした新しい商品を開発し、農業の育成に貢献しています。そうした野菜の新しい食べ方や可能性を切り開く、いわばクリエーターとしての柿沢さんに、どんな思いで野菜と向き合っているのかをお聞きしたいと思います。

 最初にお聞きしたいのですが、柿沢さんは元々、どういうきっかけでパティシエールの道に入られたのでしょうか。やはり最初は製菓専門学校などに通っていたのですか。

柿沢:いいえ、私は子供のころから身体が弱かったので、ハードなイメージのある料理人の世界に入るのは不安がありました。しかしフランスの食文化には以前から興味があり、そうした世界を紹介する仕事ができたらいいなとは考えていましたので、まずフランス語を勉強しようと、大学では仏文科に入りました。そのとき在学中に休みを取ってリッツ・エスコフィエというパリにあるリッツホテルの学校や家庭料理の教室にも行きました。高価なフランス料理よりも現地の家庭料理に興味がありましたので、一般の家庭にもお邪魔して、教えてもらったこともあります。そうした体験があり、パティシエールの仕事に関心を持ったのです。

西澤:菓子作りは独学で勉強したのですか。

柿沢:そうです。卒業後、最初はスイーツ関連の会社に入社しましたが、製菓学校を出ていないので販売の仕事がメーンだったので、自分の店を持ちたいと思い始めたのです。まずは調理師免許を取るためカフェレストランで働き、メニュー開発なども担当したり、飲食店経営に必要な知識も身に付けたりしました。カフェレストランを辞めると、食生活の考え方にも関心があったので、今度はマクロビオティックの学校で学びました。そして26歳のときに、栃木県で自分の最初の店を始めたのです。野菜料理を中心としたカフェレストランでした。

西澤:下積みの修行も経験し、早くも26歳で独立されましたが、何かタイミングがあったのですか。

柿沢:自分で何かをやりたいと思っていても、会社に勤めていてはできなかったからです。まだ若かったので失敗しても何とかなるんじゃないかと。

 私はベジタリアンなので、野菜中心のメニュー開発にしたいと思っても、普通のカフェレストランでは反対されるじゃないですか。自分がやりたいことができないなら、思い切って早めに独立するしかないかなと考えました。

 女性が1人で起業するのは今でも大変ですが、私の場合は主人の後押しもありました。単なる街のカフェレストランなどではなく、きちんとした目的があり、社会的に貢献できる仕事なら、一緒にやってみようと。だから私も決断できたのでしょう。

柿沢安耶氏(写真右) かきさわ あや●1977年、東京生まれ。学習院大学在学中に、フランスのリッツ・エスコフィエで学ぶ。卒業後、2003年に野菜が主役のカフェレストラン「オーガニックベジカフェ・イヌイ」を栃木県に開店。2006年に野菜スイーツ専門店「パティスリー ポタジエ」を東京に開店。オーナーパティシエールとして活躍するほか、各地の農業支援活動や食育セミナー、生産地での野菜作り体験ツアー、料理教室講師なども手がける。

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